木のへら(栗)
日用品と暮らしの道具を扱うお店のものとして「理想の道具」とは何だろうかということを考えることがあります。
多分いろんな要件があると思いますし、人によって何を良しとするかは様々だと思います。
見た目の美しさだったり、持ちやすさだったり、軽さだったり、重さだったり。
多分正解はありませんが、私たちにとって「理想の道具」の一つの基準は「自分の手足になるか」ということだと思っています。
本当はフライパンで炒める時だって手を使って混ぜることが出来たら一番理想的なのだと思います。
だけど熱くてそんなことは出来ないので、その時に道具が登場するわけです。
だからその道具が、自分が手で混ぜているかのように機能してくれたら最高です。
大久保さんの木べらはそんな道具です。
左利き用(左)と右利き用(右)があります。
木目の違いによる雰囲気の違いがございます。ご了承ください。
実際の使用イメージはぜひ動画でご覧ください。
桜と栗は形も違います。
同じ木のへらではありますが、使っている樹種によって形も違っています。
栗の木のへらは先の部分が「刳(く)れて」いるのに対して、桜の木のへらはプレーンな形状になっています。
また、栗の木のへらの方が持った時の感じが軽いです。
我が家では栗も桜も両方使っていて、どちらも同じくらい出番があります。
左が「栗の木のへら」、右が「桜の木のへら」
<サイズ>
長さ:約295mm/幅:約85mm
*一つ一つ手作りされているため個体差がございます。
<素材>
木(栗)
<配送オプション>
ネコポス:対象外
宅急便コンパクト:対象外
- この商品の作り手 -
大久保ハウス木工舎
#KEZURISM #クウネルケズル
突然何のこと?と思われるかもしれませんが、これは大久保ハウス木工舎の大久保公太郎さんのインスタグラム投稿によく付されるハッシュタグです。
大久保さんは、文字通り"食べるか寝るか削るか"しかしていないのではないかと思うほどに、ひたすら木を削る方です。
その大久保公太郎さんと妻の修子さんのお二人が長野県松本市で営むのが「大久保ハウス木工舎」です。
うず高く積み上がった削り屑
代表作でもある桜の木べらから匙、杓文字、ジャムスプーンなどなど数多くの木の道具を削り出しています。
公太郎さんは元々木工に携わっていましたが、最初から今のような道具を作っていたわけではなく、修子さんの依頼で公太郎さんが木べらを作ったのが今のスタイルのきっかけなのだそう。
以後、プロの料理研究家から各家庭まで、また洋の東西を問わず、数多くの料理をする人たちをファンとして抱え、その使う人たちの声に耳を傾けながら少しずつ改良に改良を重ねて進化してきました。
その進化がまた新たなファンを呼び、そのファンの声がさらに道具を進化させる。
そんな進化のサイクルの中で大久保ハウス木工舎は全国にその名を知られるようになっていきました。
使い手の微妙な感覚を実際の形にしていくために、少しずつ微妙に形や角度の違う鉋(かんな)を使い分けて次々と削り上げていきます。
どの作り手の方に伺っても一様に「あんなにストイックな人はいない」という答えが返ってくる大久保公太郎さんなので、初めてお会いする時はやや緊張しました。
(勝手に)気難しい無口で無愛想な男を想像して私たちは松本の工房に向かいました。
松本の市街地を見下ろし、北アルプスの眺めが素晴らしい高台に大久保ハウス木工舎はあります。
入り口が開け放たれた工房の中には早くも木を削る公太郎さんの姿が見えます。
私たちの勝手な想像(本当に勝手な想像です)に反して気さくに迎え入れてくださった大久保さん。
色々とお話を伺う中で強く印象に残っているのは、彼の物事に対するフラットな目線と純粋で旺盛な好奇心です。
例えば、紡ぎ舎店主の会社員時代の仕事の内容などにも興味を持って色々と質問して下さり、「へー、それは面白い!」とか「あ、じゃあ例えばこういう場合はどうなるんですか?」など次々と疑問が浮かんでくる様子でした。しかもその内容が的を射ている。
そんなやりとりをしながら、大久保さんという方は先入観や思い込みを持たずにその時その時に提示された情報を自分なりに解釈し、要点を抽出した上で自分の中に落とし込んでいくという作業を謙虚に繰り返し続けている方なのだろうという印象を受けました。
次々と出来上がる美しい匙
大久保ハウス木工舎の木の道具は、そんな謙虚な姿勢の表れなのかもしれません。
「この部分はもう少し丸みがあった方が持ちやすい」とか「もう少しだけ角度がついた方が混ぜやすい」とか、そういった使う人たちの声をフラットに聞き入れながら要点を抽出し、ひたすら削る中で体得した高度な技術を以て具現化する。
そういう意味では、大久保公太郎という人は、使う人たちの多くの感覚的な声を、圧倒的な鍛錬と技術によって道具という具体的な形にtranslate(翻訳)する翻訳家といった方がイメージが近いのかもしれません。
ちなみに、もう一つ紡ぎ舎夫婦の間でもよく話題に出るのが、大久保夫妻の役割分担のバランスの良さです。
例えば百貨店の催事に出店する際など、接客や販売などの一切は修子さんが担います。一方の公太郎さんはここでも実演も兼ねつつひたすら削っています。
このお二人の姿が象徴的な構図として私たちの中に残っています。
大久保ハウス木工舎として使い手の方に伝えたいものや伝えるべきことのために最適化された役割をそれぞれが高いレベルで担うバランス。私たちも大いに刺激を受けました。
うまく言えませんが、白黒の無声映画を撮る人と、そこに色を重ね音声を吹きこんでいく人のコンビみたいな印象です。
Gallery Sen
工房の隣には妻の修子さんが営むお店「Gallery Sen」があります。
大久保ハウス木工舎はもとより、長野県のものづくりを語る上で避けることの出来ないお店です。
(紡ぎ舎でもお取り扱いのある「木工ヤマニ」さんのペッパーミルも修子さんの後押しがなければ製品化されなかったものの一つです)
古民家を、一時は心が折れそうになりながら、ご自身で改修されたという店内には、大久保ハウス木工舎の木の道具はもちろん、長野県の作り手のものを中心とした暮らしの道具が並んでいます。
お店の詳細はInstagramなどをご確認ください。
>> Gallery SenのInstagram
大久保ハウス木工舎の全商品はこちら>> #大久保ハウス木工舎
- ご注意いただきたいこと -
※商品写真はできる限り実物の色・質感に近づけるよう撮影しておりますが、お客様のお使いのモニター設定、お部屋の照明等により実際の商品と色味・質感が異なる場合がございます。
※木製品は一点一点手作りされています。したがって大きさや形、木目の出方、色合いが均一でなかったりします。ぜひ手作り商品の個性として、制作工程に思いを馳せながらお楽しみください。また、使い込むほどに深みを増し、変化する風合いも、お楽しみください。
※実店舗にて同時に販売しております。ご注文いただいた後に在庫状況を確認いたしますが、在庫ありの商品でもご注文いただいた時点で「在庫切れ」の場合がございます。その際はメールにてご連絡いたします。何卒ご了承ください。